“大裁縫大会”
- 2011/04/11(月) 00:18:25
「あーさん、なんじゃそりゃ?!」
という声が笑いとともに聞こえました。
振り向くと、ある利用者の方が
私を指差して、お腹を抱えて笑っていました。
「なんとあーさん(笑)・・・すそがほつれてしもうとるがな」
見てみると、制服のズボンのすそがほどけてしまい、
床を拭き掃除しているような状態でした。
「早う、それを貸してみんさい。今縫ってあげるけん」
「自分で縫うけん、ありがとう」と優しく返しましたが、
あまりにも、早く早くと言われるため、
ズボンを渡しました。
しかし、いざ縫う段階になって、
なかなか糸が針穴に通りません。
「目が見えんようになった」
等々言われながら
その方が悪戦苦闘していると、
他の方々もやって来られ、
あーでもないこーでもないと皆さんで言われながら、
やっとのことで糸が通りました。
そのあとも、
「糸の色が違うでな」
「縫い目が大きいわ」
「これじゃまたほつれっしまう」
「おえりゃぁせんが」
「ちょっと私に代わってみんさい」etc
ワイワイと大変賑やかな“大裁縫大会”になってしまいました。
それでも、しばらくすると
「ほうれ出来たで」
と皆さん得意満面の笑みで
ズボンを返してくださいました。
「不細工な仕事じゃけど、まぁ、はいてみんさい」
とのこと。
確かに縫い目の一つ一つが大きく、斜めに走ったりしています。
糸の色も違い、少々目立ちもします。
しかし、皆さんのご好意がとても嬉しく、胸が熱くなりました。
仕上がりは今ひとつですが、皆さんが一生懸命に縫ってくれた
このズボンには愛情がこもっています。
大切に大切に、すり切れるまで履こうと思います。
- | こころがあたたかくなるお話
- | トラックバック:0
- | コメント:0 |